著者が述べているように諸問題に対してどうすればよいかとの記載はない。
またどうすれば良かったのかの記述もない。しかしそれでよいと思う。
「歴史を学ぶ意義は本物を識別することに役立つ。」といわれているが
１９８０年代からの経済政策や金融界の動きが数字とグラフで客観的に示されており、
著者の見解は参考として「本当か？」と疑問を持ちながら読むと
世間で起きていることや言われていることの本質を考える一助となり、それらに
動揺したり騙されたりすることの予防に役立つ。ビジネスでは「明日の百より今日の五十」
の通りチャンスを逃さず後先を考えず金儲けをすることが常識のようであるが、
バブルに乗じた結果をふりかえり、健全にビジネスを持続するための方策を考える上での一助にはなる。
後半の記述には感情的な点も感じられるが長年にわたるビジネスの第一線から卒業した後の気持ちが率直に表れていると思う。
著者が活躍した時期から企業やそれを取り巻く環境は変わって来ているがビジネスの本質は変わっていないはずであり、
金融に直接は関係しない若いビジネスマンにも一読を勧めたい。
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